エジプト貿易・輸出の基礎知識(概況や基礎統計)

目次

    エジプトの基礎情報

     エジプトは、アフリカの北東端に位置します。国土の95%が砂漠で、ナイル川周辺にほとんどの都市と人口が集まる国家です。日本からのイメージだと、ピラミッドやスフィンクスなど観光的な印象が強いですが、今回は基礎データとともに貿易的な側面からエジプトについてお伝えします。

    基礎データ

    ・正式名称:エジプト・アラブ共和国 Arab Republic of Egypt
    ・人口:1億343万3,429人(2022年6月8日)*北アフリカ、中東地域で最も人口がもっとも多い。
    ・面積:1,001,450㎢ *世界29位。日本の2.65倍。
    ・首都:カイロ
    ・言語:アラビア語、都市部では英語も通用
    ・民族:主にアラブ人(その他、少数のヌビア人、アルメニア人ギリシャ人等)
    ・宗教:イスラム教、キリスト教(コプト派)
    ・主要産業:製造業(16%)、小ト中央銀行・卸売(14%)、水産業(11%)、不動産(10%)
    (繊維、食品加工、観光、化学品、医薬品、炭化水素、建設、セメントなど)
    ・名目GDP総額:2021年 4356.21億ドル 世界35位、アフリカ3位
    ・1人当たり名目GDP:2021年 4,162ドル 世界121位

     アフリカ自体多くの国で人口増加が騒がれていますが、エジプトもそのうちの一つです。首都のカイロには家が増築できないほど人が多く、区画整備された墓地に勝手に屋根を張ってそこに住み生活する人すら存在しており、別名「死者の町」とも言われています。

    日本との貿易状況

     対エジプト貿易では輸出が盛んです。昨年の輸出総額は10億ドルを超えており、日本の対アフリカ貿易の中でも比較的高い数値となっています。

    ・日本の輸出額:10.93億ドル
    ・日本の主要輸出品目:輸送機器(37.5%)、一般機械(28.6%)、原料別製品(11.8%)

    ・日本の輸入額:3.19億ドル
    ・日本の主要輸入品目:鉱物性燃料(79.5%)、食料品(8.1%)

     また現地で活動する日本人は比較的少なく、進出日系企業拠点数は49、在留邦人は719人(2020年10月1日現在)となっています。

    エジプトへの商品の輸出手続き

     エジプトは輸入品目規制が比較的厳しく、注意が必要です。輸出入法によって品質検査などが義務付けられている品目については、事前に輸出入管理公団の承認が必要です。

     また船積み貨物の輸入通関には、エジプト向け輸出入者による貨物情報の事前申告をしなければなりません。注意すべきポイントをまとめました。

    輸入品目規制

    以下のものは輸入が停止されています。

    ・宗教的感情を害するマークのある消費財
    ・家禽の臓物
    ・鳥・家禽の肝臓
    ・オイルジェットポンプ装備のないダブルストローク・バイク
    ・アスベスト関連品
    ・アスベスト使用のブレーキ・ライニング
    ・遺伝子操作された油を使用したツナ
    ・殺虫剤・化学製品(368項目)
    ・拳銃を模した玩具で、硬いビーズや矢を伴うもの (2009年にリストに追加)
    ・100~250ボルトのAC電源を使用する40ワット超の白熱電球 *(HSコード:85392290, 85392900)(2012年、2014年にリストに追加)
    ・”regulation of body energy”の名称で輸入され、筋肉緊張緩和、関節痛緩和、深い睡眠の促進、または携帯等の電磁波から人体を守るなどをうたうクォンタム・ペンダント、ブレスレット、ネックレス、その他アイテム(2013年にリストに追加)

    輸入貨物情報の事前申告

     2021年10月から運用が開始されたオンラインによる輸入貨物情報の事前申告制度により、エジプトに商品を輸出する際は、オンラインでの事前申告が必須になりました。

    エジプト側輸入者

    「Nafeza」に登録。輸入ごとにACID番号の発行が必要です。
    *Nafeza:税関や各監督官庁、輸入者などの手続きを一元化した輸入者用のプラットフォーム

    エジプト向け輸出者

    「CargoX」に登録。輸出ごとに貨物情報入力や輸入者発行のACID番号を記載した書類をオンライン上で申告し、手数料を支払うことが求められます。
    *CargoX:輸出者用のプラットフォーム。CargoXへの申告はNafezaと連動します。

    輸出入法に基づく品質検査

     エジプト側の輸入に際して品質検査が必要な品目は、次の条件を満たしていることが必要です。

    機械・装備

     本体および包装に原産国名が、アラビア語・英語・仏語のいずれかで刻字されていること。

    加工された家禽・鶏肉・肉

    ・貨物は、原産国からエジプトへ直送されること。
    ・商品は衛生基準を満たし、きちんと包装されていること。
    ・包装ごとに、アラビア語で次の情報が記載されているラベルが貼られていること。
    └ 原産国
    └ 生産者名
    └ 食肉処理場名
    └ 加工日
    └ 輸出者の氏名および住所
    └ シャリーア(イスラム法)に基づいて加工工程を監督した団体名(原産国の商務部で認可されていること)

    衣服・家具・カーペット・織物・キリム(靴下で、医療用・工業安全用のものを除く)

    商品ごとに、アラビア語で次の情報が縫製されていること。
    └ 生地の種類
    └ 原産国
    └ 輸入者名

    【外国工場・企業】エジプト輸出入管理公団への事前登録義務

     外国の工場や企業が同省令指定の食品・家電・生活雑貨を含む25分類に該当する品目をエジプト向けに輸出する場合、事前に同工場・企業をエジプト輸出入管理公団に登録することを義務付けられています。

    【食品輸出】船積前検査証明書

     食品の安全性と品質を確保するため、食品輸入者(個人および法人)は、輸入業務を開始するにあたりNFSA(国家食品安全庁)からの許可が必要です。

    通関の必要書類

     通関には次のものが求められます。

    ・船荷証券
    ・インボイス
    ・パッキング・リスト
    ・原産地証明書

    エジプト貿易・輸出の基本まとめ

     「最後のフロンティア」と呼ばれるアフリカの中でも、注目度の高い国の一つがエジプトです。国際通貨基金(IMF)は、2022年の同国経済成長率を5.2%と予測しました。3年連続のプラス成長が見込まれているため、今後の動向にも注目が集まります。当サイトではその他の国についてもご紹介していますので是非ご覧下さい。

    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。

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