ケニア貿易・輸出の基礎知識(概況や基礎統計)

目次

    ケニアの基礎情報

     東アフリカでもっとも経済が発展している国、ケニア。豊かな自然に恵まれており、コーヒーや紅茶、切り花のような園芸作物の輸出が盛んな農業国です。日本ではかつてテレビで取り上げられて一躍有名になったマサイ族の印象が強いのではないでしょうか。

    基礎データ

    ・正式名称:ケニア共和国 Republic of Kenya
    ・人口:5,377万人(2020年)
    ・面積:582,646㎢ *世界47位。日本の約1.5倍。
    ・首都:ナイロビ
    ・言語:スワヒリ語、英語(公用語)
    ・民族:キクユ人、ルヒヤ人、カレンジン人、ルオ人、カンバ人等
    ・宗教:伝統宗教、キリスト教、イスラム教
    ・主要産業:農業、卸、小売りから、建設、インフラ開発、製造業、輸送サービス、観光等
    (農)コーヒー、紅茶、園芸作物、サイザル麻、綿花、とうもろこし、除虫菊
    (工)食品加工、ビール、タバコ、セメント、石油製品、砂糖
    (鉱)ソーダ灰、ほたる石
    ・名目GDP総額:1098億ドル 世界62位、アフリカ6位
    ・1人当たり名目GDP:2,204ドル 世界143位、アフリカ21位

     長らく貿易拠点となっているモンバサは、港町という特性上、現地人のみならずインド人、オマーン人など様々な人種が暮らしています。東アフリカの貿易の窓口として、航空・道路などインフラ設備が申し分なく整備されている都市の一つです。

    ケニアと日本の貿易状況

    ・日本の輸出額:10.27億ドル
    ・日本の主要輸出品目:自動車(58.1%)、鉄鋼(28.4%)、一般機械(5.4%)

    ・日本の輸入額:7700万ドル
    ・日本の主要輸入品目:原料品(62.8%)、食料品(33.7%、コーヒー、茶など)

     進出日系企業拠点数は89、在留邦人は674人となっています。

    ケニアへの商品の輸出手続き

     ケニアは輸入品目規制が比較的厳しい国の一つです。ケニア貿易ネットワーク庁が運営する、輸出入手続き・要件に関するポータルサイトであるInfoTrade Kenyaでは、品名やHSコードを入力することにより必要な全ての許認可・手続きを知ることができ、まずはここを参考に情報を収集しましょう。

     また輸出入法によって品質検査などが義務付けられている品目については、事前の輸出入管理公団の承認が必要です。さらに船積み貨物の輸入通関には、ケニア向け輸出入者による貨物情報の事前申告をしなければなりません。注意すべきポイントをまとめました。

    輸入品目規制

     まず輸出したい商品が規制の対象か、手続きを踏めば輸出できるのかを確認しましょう。
    ジェトロの貿易管理制度でこれらを確認することができます。

    ラベリング

     ケニア基準局(KEBS)によって規定された事項(以下4事項)を製品に表示しなければならず、出荷前にラベルを貼っておく必要があります。全ての製品への英語表示は必須ですが、他の言語の使用については任意です。

    ・製造業者名
    ・登録商標
    ・ブランド名
    ・原産国

    製品によっては他の表示も求められる場合があります。

    【必須】船積み前適合検査(PVoC)制度

     ケニアに輸出する際は、全ての商品は(一部の免除品目(船積み前適合検査(PVoC)の免除品目)を除く)日本(輸出国)で指定機関による検査を受け、輸入通関の際の必須書類の一つである適合証明書(CoC)を取得した上で、船積みしなければなりません。

     万が一日本(仕出し港)においてPVoCを実施せず船積みした場合は、ペナルティ費を払うことでケニアにおいて適合検査を申請することができます。しかしケニアの規格を満たさなかった場合、ケニア(輸入港)で破棄・没収されます。

    通関の必要書類

     通関には次のものが求められます。

    ・船積み前適合検査(PVoC)の検査機関が発行した適合証明書(CoC)
    ・輸入標準化マーク(ISM)
    ・輸出企業からのコマーシャルインボイス
    ・輸出企業からのプロフォーマインボイス
    ・船荷証券/Airway Bill(航空輸送の場合、最終送り状は必須ではない)
    ・原産地証明書
    ・発注書/契約書
    ・パッキングリスト
    ・信用状(利用する場合)
    ・納税者識別番号(PIN証明書)
    ・課税免税証(商品の課税が免除される場合)
    ・運賃請求書(海上貨物の場合)
    ・許可証/ライセンス(規制品目の場合)
    ・車両登録書(貨物が自動車の場合)
    ・自動車の路上使用適格性証明書

     製品によっては一部不要なものもありますが、上記項目の準備については必ず確認しておきましょう。

    通関手続き

    (1)プロフォーマインボイスを入手した輸入者は、通関業者に輸入申告書の提出を依頼する必要がある。輸入者は、船積み前検査のために輸入申告書をサプライヤー(輸出者)に送付する。
    (2)通関業者は輸入申告書を作成し、輸入者に関税支払い伝票を送付する。輸入者は銀行で関税を支払い、通関業者に銀行が発行した領収書を送付する。
    (3)通関業者は検証が行われる商品ファイルを税関で提示する。
    (4)検証の結果、すべての輸入申告に問題がなければ、商品は通関される。
    (ジェトロより引用)

    輸入標準化マークの取得(ISM)

     ケニア国内での販売を目的としたすべての輸入製品(例外品目を除く)に貼ることが義務付けられている製品認証制度です。輸入された商品がケニアの品質基準・技術基準を満たしていることを保証し、ケニア国内消費者の安全・健康・環境を保護します。取得には以下の手続きが必要です。

    (1)輸入地(ケニア)において、通関前に次の書類を添えて、ケニア基準局(KEBS)に申請書を提出します。

    ①適合証明書(CoC)
    ②税関申告書
    ③輸入申告料(IDF)
    ④パッキングリストのコピー

    (2)貼付
    申請書を提出後、2営業日以内にISMを受け取ることができます。全ての商品一つ一つに張り付けなければいけません。

    ただし、以下の場合には例外となります。

    例外1:トレイ上のナイフやフォークなど、日用消耗品で回転が速い商品の場合。
    →代わりにトレイに貼ることができる。

    例外2:商品の面積が小さすぎてマークを貼れない場合。
    →複数ユニットを梱包したパッケージに貼ることが可能(1つのユニット単位の小売り価格が25Kshを超えない場合) 。

    ケニア貿易・輸出の基礎まとめ

     ケニアとの貿易では、日本からの自動車輸出が盛んです。ISMの取得など、手続き上複雑な部分も多いですが、日本の対アフリカ貿易の中でも重要な取引国の一つであり、今後も自動車や機械の需要は高まると予測されます。当サイトではその他の国についてもご紹介していますので是非ご覧下さい。

    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。

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